特定非営利活動法人 島根県障がい者就労事業振興センター

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インタビューA おいもの学校 担当者

インタビューA

農業部門を始められた理由を教えて下さい。

森のレストランが一つの卸し先になるのですが、森のレストランだけではなくて、いわみ福祉会の中に老人ホームなどの福祉施設が複数ありますので、そこに向けてターゲットを絞ることで、販路を開拓していこうという取り組みから始まりました。

実際に農業をされる方が一番困っていることは、野菜を作っても売るところがありません。いわみ福祉会は、老人ホームが50床、デイサービスが35床の配食サービスなどを行っております。実は近くに「ミレ青山」という施設があるのですが、もともと私と施設長は、そこで働いていたので、そこをターゲットに野菜を作り、卸ろすことで、一ヶ月で何十万になるのではないかというプランでした。でも、実際にはそんなに簡単ではなかったのですけれど。

それでも販路はあるが、一次産業なので厳しいということは分かっていましたが、農業をやりたいと思う利用者さんもいたので、販売するルートもあるから「やってみようか」と思いから農業を始めました。その中で森のレストランも、卸し先の一つになったというところです。森のレストランのためだけに農業を始めたわけではなく、いわみ福祉会の施設に作った野菜を卸せるという目的で農業部門がスタートしました。

最初から、サツマイモを使った商品を開発しようというお考えだったのですか。

もともと干しいもづくりは、島根県障がい者就労事業振興センターと話す前から、江津事業所を建てる前からやりたいという思いがあったが、ワークくわの木だけでは販売ルートもないし、その食品開発能力もないというところで、島根県障がい者就労事業振興センターと一緒にできないかということ、去年の12月ぐらいに話をして、そこからこのプロジェクトが始まりました。

商品が完成するまでに一番大変だったことは何でしょうか。

全てが大変でした。何も0からの出発なので、何も知らなかったです。例えば「干しいも」をどうやって作るのか、というところから最初は入り、いろいろとインターネットで調べたり、本で調べたり、それでもわからないことは島根県の産業技術センターに行って聞いたりしました。また、他で作った「干しいも」を買ってみたりもしました。そんなことをしながら、毎日新しい発見や気づきの連続でした。それでも、「お菓子を作れ」と言われるより、そちらの方が全然やりやすかったです。お菓子作りのようなテクニックはいらないので、実験みたいな感じで、最初は取り組みました。

ですが、例えば「カルビーのポテトチップスを作れ」と言われても絶対に作れないですが、「干しいも」を作る場合は、一般的に世の中の人は、手作りでやっておられるので、味に関しては似たものができるのではないかという気がしておりました。試行錯誤しながら、蒸す時間など、ある程度工程が決まっているのでポイントを押さえれば、なんと見よう見まねでできるかもしれない気持ちで取り組みました。

サツマイモの品種はどういったものを作っておられるのですか。

ワークくわの木江津事業所で作っているサツマイモは、紅あずまと玉豊という品種を作っております。干しいも用として、茨城県のほうで90%以上使用されているのが玉豊という品種なのですが、この辺では玉豊を作っているところはほとんどないと思います。その他にも、少しだけ安納芋やほしキラリという品種をも作っております。

このおいもの学校という商品は、ワークくわの木さん以外の他の事業所さんも製造されているのですか。

こ緑風園さんでは、もとも干しいもづくりをやっていたが、去年は上手くいかなくて、今年はサツマイモの品種を変えて今年はやられると思うのですが、島根県障がい者就労事業振興センターができあがった商品を見て、これなら「おいもの学校」ブランドとして出荷しても良いというお墨付きをもらえないと販売できません。ですから、それぞれの事業所が勝手に「おいもの学校」という名前だけを使って出荷したら、ブランドの評価が下がっていきます。商品の価値が下がるのは困るので、島根県障がい者就労事業振興センターが承認した商品のみを店頭に販売できるという規約を結んで、各事業所が商品づくりを行っているのです。緑風園さんは、今年も干しいもづくりをされるという話を聞いています。

ワークくわの木さんで、去年成功したノウハウとかというのを他の事業所さんと共有されるのでしょうか。

去年、緑風園さんは干しいもが上手くいかなかったので、お互いに繋がりをもって緑風園さんに成功したノウハウを隠さずにお話します。実際に見学にも来ていただいたりして、利用者さんが作っている現場も見ていただいているので、お互いに連携や共同をしていくつもりで考えております。ですから手のうちを見せないといことは一切ないです。

おいもの学校の製造をしていくことで、利用者さんに変化はありましたか。

この商品づくりをやればやるほど良くなるし、個人の責任感も出ています。商品を作り、それが実際にお店に並ぶということは、やはり利用者さんの喜びに変わると思います。ですから、皆さん作業に集中し、熱心に責任感を持ってやってくれるというのが、私から見てもすごいなと思います。ここの作業で言うと野菜を作ったりするよりも、きちんとした商品になるほうが、やはり目で見て喜びを実感できます。

そして、最後にパッケージに入れて商品が完成し、シールを貼ったりする作業はまさに商品づくりの醍醐味を感じるので嬉しいじゃないですか。また、お客様の見えるかたちで納品に行くと、その流通過程を通して、商品をつくる過程において利用者さんがそれぞれ関わりながら商品を作っていることを実感し、その満足感が喜びになり、自信に繋がるということを実感しました。

できあがった商品は、どのようなところで販売しているのですか。

おいもの学校という商品以外でも、あとは代官いもという大きい山芋を2種類作っております。おいもの学校には干しいものパッケージと、冷凍焼き芋のパッケージがあります。あくまでお土産ということで、干しいもはパッケージがきちんとしておりますので、それなりの値段で販売しております。

また安い価格でスーパーに卸す場合は、違うパッケージにして販売をしております。卸先は、サンピコごうつさん、アクアスさん、一番街さんの3店舗に卸しました。その他に、普通の干しいもは近所にあるキヌヤさんというお店に卸しました。冷凍焼き芋のほうはアクアスさんやサンピコごうつさんと、ぢげもんの松江店さんに、それからあとは、ワークくわの木のワークショップで販売しておりました。商品として干しいものほうがたくさん売れましたね。

石見地方、特に江津市にはあまり有名な土産がないので、土産が売れるシーズンに商品を並べさせていただくと、思った以上にたくさんの商品が売れました。ですから、準備が足りなかったので、今年は準備しておけば、もっとたくさん売れると思います。今シーズンは商品ができ上がったら直ぐに置こうと計画をしております。

今後おいもの学校という商品を製造・販売していく上で課題があれば教えて下さい。

まだまだ、作業能力的に見ても足りないだろうなと思っております。やはり需要があるものを作っていかなければいけません。サツマイモについてかなり需要があるみたいなので、まだまだ生産体制を整えていかなければいけないと思います。

そして、これまでの福祉を前面にだしたやり方でなく、両方うまく使っていこうと考えております。ですから甘えられる部分は福祉での補助金をいただいたり、手助けしてもらう部分が必要だと思います。

福祉の事業所で作った製品であるということを前面に押し出した売り方をしても絶対に売り上げは伸びてこないと思うので、そういったところを出さずに一つのブランド商品として、生産及び販売を行っていきたいと思っております。

おいもの学校プロジェクト以外にも新しい展開はお考えでしょうか。

例えば、おいもの学校というブランドで、パンを作ったり、クッキーを作っても良いと思います。ワークくわの木のように干しいもを作らなくても、こちらでサツマイモのペーストやパウダーを作ったりしたものを加工して、新しい商品を作ってもらえれば良いと思います。そういった繋がりで協力していけば、また全然違う新しい展開が生まれてきます。そうすれば連携というのは無限にあると思います。ですから、「こういうものを作りたい」という提案が数多く出てくれば、もっと面白い展開になると思います。

今後、このプロジェクトに取り組まれる事業所さんが増えてくると思うのですが、何かワークくわの木の益田さんからアドバイスがあればお願いします。

また、一年目なのでアドバイスできる立場ではないですが、これまでのようにそれぞれの事業所が違うことをやっていてものづくりの未来は変われないので、一緒になって連携できれば、大きな仕組みできるし、色々なアイディアも生まれるので、ぜひ協力し合いながら頑張っていきましょう。そうすれば、それぞれが関わる人は少ないと思うのですけれど、それが例えば5個の事業所が頑張って動ければ、それに繋がる人も多くなってくる。よりサポート体制も強化できれば大きな柱ができあがってくるのです。